1957年4月30日に公開された映画『東京暮色』。
この記事では、映画『東京暮色』のあらすじ(ネタばれナシ)・みどころ・解説・感想をご紹介します。
映画『東京暮色』の予告編
巨匠・小津安二郎が描く親子愛の断層―――銀行勤めの杉山周吉は、20年前、妻に逃げられ、長女を嫁がせた今、次女・明子と二人、ひっそりと暮らしています。
しかし明子は姿を消してしまった年下の恋人を探し、毎晩街をさまよっているのです。
ふとしたことから明子は、自分や父を捨てた実母と再会することに……。
ラストシーンは小津監督屈指の名演出!
映画『東京暮色』のあらすじ(ネタバレなし)
銀行に勤める杉山周吉は妻が愛人と家を出て行ってしまい、長女も嫁いでしまった今、次女である明子と二人で暮らしていました。
長女の孝子が幼い娘を連れて、夫の元から実家へと戻ってきました。
次女・明子は英文速記の学生でしたが、年下の恋人の子を妊娠してしまい…
映画『東京暮色』の解説
この作品は、監督である小津安二郎にとっては、最後のモノクロ作品となりました。
また山田五十鈴が出演した唯一の小津の作品でもあります。
この作品は戦後の小津安二郎の作品の中でも、暗い作品であり、内容の暗さに加えて、実際に暗い夜の場面が多いほか、明子役である有馬稲子は全編を通して笑顔がありません。
このような暗い内容に、共同脚本であった野田高梧は終始批判的であったとされ、脚本執筆においても、しばしば小津と対立したと言われています。
また完成作品に対しても野田は否定的だったそうです。
映画『東京暮色』のみどころ
暗いトーンの中で語られる、明子の望まない妊娠、姉・孝子の不仲、妻に逃げられた父親。
母親の過去の不実が娘を不幸に巻き込み、救いのない結末を迎えます。
そんな不幸の中でも希望を探そうとする明子の姿に、いつしか引き込まれていきます。
モノクロームの中で輝きを放つ、役者の一人一人の存在感がみどころです。
映画『東京暮色』の感想
全体を通して暗い作品であることは否めません。
ただその中に、明子が見た夢のようなもの、あるいは母親に求めたものは、何だったのかと考察することが希望のようにも思えました。
人間の生きる姿を等身大にとらえ、人生について考えさせてくれる作品でした。
全編に漂うレトロな雰囲気が、自分には魅力的に感じました。
映画『東京暮色』の登場人物・キャスト
沼田孝子:原節子
杉山明子:有馬稲子
杉山周吉:笠智衆
相島喜久子:山田五十鈴
川口登:高橋貞二
木村憲二:田浦正巳
竹内重子 : 杉村春子
映画『東京暮色』のスタッフ
監督:小津安二郎
脚本:野田高梧、小津安二郎
企画:山内静夫
撮影:厚田雄春
美術:浜田辰雄
録音:妹尾芳三郎
照明:青松明
音楽 : 斎藤高順
編集 : 浜村義康
進行 : 清水富ニ
監督助手:山本浩三
撮影助手:川又昂
コメント