1978年11月25日に公開された映画『家族の肖像』。
この記事では、映画『家族の肖像』のあらすじ(ネタばれナシ)・解説・みどころ・感想をご紹介します。
映画『家族の肖像』の予告編
ローマの高級アパルトマン。
絵画の収集、研究をしながら静かに老教授(バート・ランカスター)のもとに、ある日突然の上の階の部屋を借りたいという女性が現れます。
映画『家族の肖像』のあらすじ(ネタバレなし)
孤独な老教授と、若者たちとの交流を描いたヴィスコンティ作品です。
静かに暮らしていた教授の元にある日、ブルモンティ夫人とその愛人、また夫人の娘たちが転がり込んでくるところから物語は始まります。
平穏な日々を阻害されたかのように感じた教授でしたが、次第に変化を見せ始めます。
教授はあまりにも価値観の違う若者たちの行動に気が滅入る思いだったが、コンラッドが類いまれなる芸術の理解者であることを知って興味を覚える。コンラッドはかつては学問好きの青年だったのだが、過激な左翼思想に傾倒して学業を中断し、今は昔の仲間に追われていた。ビアンカの夫は実業家で、ファシズムを支持する右翼の過激派と通じていた。
映画『家族の肖像』の解説
「家族の肖像」は、1974年に公開されたイタリアとフランス合作映画です。
イタリアでは1974年12月10日に、フランスでは1975年3月19日に、日本では1978年11月25日にそれぞれ公開されました。
作中の音楽には、イヴァ・ザニッキの「Testarda io」やモーツァルトの交響曲が使われています。
日本での配給は、東宝東和が請け負い、1979年のキネマ旬報賞において外国映画監督賞を受賞したほか、同年の第21回ブルーリボン賞外国作品賞を、また第2回日本アカデミー賞においては、最優秀外国作品賞を受賞しています。
映画『家族の肖像』のみどころ
穏やかに暮らしていたはずの年老いた教授の元に現れた人々。
教授の邸宅のクラシカルな佇まいと、登場してくる人々の華やかな魅力が見どころです。
彼らがそれぞれに繰り広げる事柄に、教授は心も体も翻弄されてしまいます。
教授の邸宅に飾られている『家族の肖像画』と、教授自身の過去の家族の風景がフラッシュバックするシーンも美しく、家族とは何かを考えさせられる作品です。
映画『家族の肖像』の感想
撮影は全て教授のアパルトマンのセットだけ、登場人物が5人だけ、という限られたものにしたのは、家族というのはとても限られた、ある種の閉鎖的な関係性であると表現したかったのだろうかと思いました。
閉鎖空間で密接しているにも関わらず、家族が本当に分かり合えているかは理解できないままのことが多いのではないでしょうか。
また、仮の家族としてまとまったように見えたとしても、それぞれの社会的出自によって疎外感に苦しむことになったり、それを救えない自分に後悔したり。
人との関係を断って暮らしてきた教授を主人公に据えたからこそ、人と人との関わりについて考えさせられることになりました。
映画『家族の肖像』の登場人物・キャスト
教授 :バート・ランカスター
コンラッド : ヘルムート・バーガー
ビアンカ : シルヴァーナ・マンガーノ
リエッタ : クラウディア・マルサーニ
ステファノ : ステファノ・パトリッツィ
エルミニア : エルヴィラ・コルテーゼ
ミケーリ弁護士 : ロモロ・ヴァリ
教授の妻 : クラウディア・カルディナーレ
教授の母親 : ドミニク・サンダ
映画『家族の肖像』のスタッフ
監督・脚本:ルキノ・ヴィスコンティ
脚本:スーゾ・チェッキ・ダミーコ、エンリコ・メディオーリ
音楽:フランコ・マンニーノ
撮影 :パスクァリーノ・デ・サンティス
編集:ルッジェーロ・マストロヤンニ
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