1992年3月28日に公開された映画『ポンヌフの恋人』。
この記事では、映画『ポンヌフの恋人』のあらすじ(ネタばれナシ)・みどころ・解説・感想をご紹介します。
映画『ポンヌフの恋人』の予告編
ホームレスの青年アレックスの元に転がり込んできた家出少女ミシェル。
失恋と失明の恐怖で絶望したミシェルとアレックスの若さゆえの行動と、償いの日々の果てに彼らが描く未来とは…
映画『ポンヌフの恋人』のあらすじ(ネタバレなし)
ポンヌフ橋で暮らすホームレスのアレックスは、夜のパリを歩いていました。
そこへ通りがかった家出中の女学生ミシェル。
ミシェルは恋人に去られ、また失明の恐怖で絶望的な気持ちになっていました。
アレックスはミシェルの美しさに初めての恋心を抱き、そこから二人のホームレス生活が始まります。
しかし街には父親がミシェルを探すポスターやアナウンスが流れるようになり、ミシェルを失いたくないと考えたアレックスはとうとう警察に捕まります。
そして、二人はポンヌフの上で再会を約束したのでした。
映画『ポンヌフの恋人』の解説
レオス・カラックス監督による1983年の『ボーイ・ミーツ・ガール』、1986年の『汚れた血』、そして1991年のこの映画『ポンヌフの恋人』は『アレックス三部作』と呼ばれるカラックス監督自身を投影した連作です。
この作品の完成には3年もかかり、撮影費用の捻出のために何度も撮影中断に追い込まれました。
さらにミシェル役のジュリエット・ビノシュと監督は実際に恋人同士でしたが、この作品の撮影期間中に破局しています。
様々な問題をクリアしながら完成させたこの作品。
このストーリーの終わりの部分に関して当初予定していた内容が悲劇的でしたが、ミシェル役のジュリエットが納得できないと反論し、完成版も含め何パターンか撮影されました。
その中の1つのパターンが選ばれたそうです。
映画『ポンヌフの恋人』のみどころ
ホームレスのアレックスとミシェルが一緒に生活していくうちにだんだんと心を通わせる様子や、その裏でアレックスがミシェルを想うあまり、ミシェルを探す内容が書かれたポスターをはがしてしまったりなど闇の部分が描かれているところです。
アレックス自身の人柄を感じ、なんとも人情味を感じる作品だと思いました。
また、作中にポンヌフ橋で打ちあがる花火のシーンや地下鉄のポスターに火を放つ姿が描かれているシーンも圧倒される画になっています。
巨大なセットを使用して作られた「小さなパリ」ともいわれる景色もみどころの一つと言えます。
映画『ポンヌフの恋人』の感想
この作品に出てくるアレックスの内面がとてもよく描かれている作品だなと感じました。
それというのも監督・脚本を務めたレオス・カラックス監督の本名は『アレクサンドル・オスカル・デュポン』であり、アレックスはまさに監督自身の内面を反映させているからなのでしょう。
アレックスとミシェルの再会はとても切ないものになっていて、またそれがさらに感動を呼ぶ作品になっていると思いました。
また、周辺の景色にも細かく気を配っていて、小さなパリともいわれるその様子がとても素敵な作品だと思います。
寡作なレオス・カラックス監督の最新作『アネット』も見てみたいと思いました。
映画『ポンヌフの恋人』の登場人物・キャスト
アレックス:ドニ・ラヴァン
ミシェル:ジュリエット・ビノシュ
ハンス:クラウス=ミヒャエル・グリューバー
マリオン:マリー・トランティニャン
映画『ポンヌフの恋人』のスタッフ
監督・脚本:レオス・カラックス
製作:クリスチャン・フェシュネール
製作総指揮:エルヴェ・トリュフォー アルベール・プレヴォスト
音楽:コダーイ・ゾルターン ヨハン・シュトラウス デヴィッド・ボウイ
主題歌:レ・リタ・ミツコ
撮影:ジャン=イヴ・エスコフィエ
編集:ネリー・ケティエ
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