諏訪大社は諏訪湖を取り巻くように建てられている上社の本宮・前宮、下社の秋宮・春宮という4つの神社の総称。
全国に約25,000社ある諏訪神社の総本社です。
6年に一度(数えで7年目に一度)催される猛々しい祭り・御柱祭(おんばしらさい)で有名ですが、この不思議な祭りを人気アニメ『君の名は。』『すずめの戸締り』に重ねて勝手に独自の考察をしてみます。
諏訪大社 上社
諏訪湖の南東側には『上社(かみしゃ)』の本宮、前宮の二社があります。
本宮 | 前宮 | |
名称 | 諏訪大社 上社本宮 | 諏訪大社 上社前宮 |
住所 | 長野県諏訪市中洲宮山1 | 長野県茅野市宮川2030 |
主祭神 | 建御名方神(タケミナカタノカミ) | 八坂刀売神(ヤサカトメノカミ) |
ご神体 |
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創建 | 神話の時代。1500年から2000年前 | |
人物 | 建御名方神(タケミナカタノカミ) | |
重要文化財 | 諏訪大社上社本宮 16棟、諏訪大社下社 7棟ほか | |
公式サイト | https://suwataisha.or.jp/about/ |
諏訪大社 下社
諏訪湖の北側にあるのは下社。三柱の祭神は季節ごとに秋宮と春宮、交互に祀られる。
秋宮 | 春宮 | |
名称 | 諏訪大社 下社秋宮
毎年8月-翌1月に祭神が祀られている |
諏訪大社 下社春宮
毎年2月-7月に祭神が祀られている |
住所 | 長野県諏訪郡下諏訪町5828 | 長野県諏訪郡下諏訪町193 |
主祭神 | 八坂刀売神(ヤサカトメノカミ・主祭神)、建御名方神、八重事代主神 | |
ご神体 | イチイの木 | スギの木 |
諏訪大社の歴史
天照大御神の孫・邇邇芸命の降臨に先立ち、建御雷神(タケミカヅチノカミ)が大国主神に国譲りするよう迫りました。
大国主神の次男である建御名方神(タケミナカタノカミ)が国譲りに反対し、建御雷神に戦いを挑みましたが負けてしまい、諏訪まで逃れました。そして、以後は諏訪から他の土地へ出ないこと、天津神の命に従うことを誓ったといいます。
建御名方神が諏訪に進入した際に、諏訪の地の土着の神・洩矢(モリヤ)神と相争いました。
洩矢神が戦いに負けて、その後建御名方神に仕える者となったといいます。
諏訪大社では古来大祝(おおほうり)の諏訪氏(神氏)が、建御名方神(諏訪明神)の依り代として生けるご神体とされてきました。
その大祝を補佐して神事を司ってきたのは、神長官(じんちょうかん)の守矢氏。
守矢氏は洩矢神の後裔といわれています。
神長官は、大祝の即位式を含め上社の神事の秘事を伝え、神事の際にミシャグジさまを降ろしたり上げたり、または依代となる人や物に憑けたりすることができる唯一の人物とされています。
諏訪大社の祭り
御柱(おんばしら)祭
御柱祭は、1200年以上続く諏訪大社の最も重要な祭。
御柱となるのは樹齢150年、高さ17メートルを超える選ばれた16本の樅(もみ)の大木です。
7年毎の寅と申の年4月~5月に、山から伐りだした巨木を人の手で神社に降ろし、諏訪大社の4つの社殿のそれぞれ四隅に立てるのです。
数えで7年、実際には6年ごとなんだね。
次は2028年だよ!
6年に1回行われる長野県諏訪大社の『御柱祭』
毎回死者が出るという見るからに危険なこの神事
テレビ番組でやったら即座に問題になるでしょうにね2022年はコロナの影響で
『木落し』は行われなかったのですが
次回からはどうなるのでしょう…😓pic.twitter.com/Bajhg7SQlt— タンタンパパ (@tintinpapa1) July 9, 2024
上社と下社は離れているから、木落し坂は2カ所あるのだな
御柱祭と日ユ同祖論
都市伝説界隈で語られる『日ユ同祖論』では、諏訪大社の御柱と、ソロモン神殿の木材調達に関連があるとする説があります。
エルサレムでダビデ王が神殿の建築を計画し、紀元前10世紀、その子ソロモン王がモリヤ山に大量の石材、木材を集めてソロモン神殿を完成させました。
この時使われたのがレバノン杉です。遥か北方のレバノンから大量の木材が伐りだされ、運ばれました。
モリヤ山、針葉樹、神を祀る社。確かに関連性を感じてしまいますね。
宝殿遷座祭
御柱祭の正式名称は「式年造営御柱大祭」。
宝殿を建て替え、宝殿内の神器と、神様の遷座も行われます。
伊勢神宮みたいだね!
伊勢の式年遷宮は20年に一度、諏訪大社は12年に一度建て替えるわけじゃな
上社・本宮には本殿はありません。
そのため東宝殿・西宝殿と遷座を行います。
宝殿は6年毎の式年造営で交互に建て替えをします。
要は、宝殿は12年毎に建て替えをすることになるのです。
下社では毎年2月に秋宮から春宮へ、8月に秋宮から春宮ヘ移ります。
御柱の里曳きの前夜に、東宝殿・西宝殿のチェンジを行います。
御神渡(おみわたり)
冬になると諏訪湖の湖面に氷が張り、昼間に氷が膨張すると、南の岸から北の岸へかけて氷が裂けて、高さ30cmから1m80cm位の氷の山脈ができます。
これは男の神が上社から女の神のいる下社へ通った跡とされ、神事が諏訪市の八剱神社の宮司によって執り行われます。
諏訪湖に御神渡りができると宮司と氏子総代、古役、小和田各区長等約60名が、諏訪明神の通った道とされる氷の亀裂を拝観し、その年の農作物、社会情勢の吉凶、気候雨量等を占い、結果を公表します。
温暖な冬には全面結氷しないためこの現象は見られません、これを『明けの海』と呼んでいます。
今年の冬は御神渡りが見られるのでしょうか?
蛙狩神事(かわずがりしんじ)
元日の朝に上社本宮で行われる神事。
生きた蛙を矢で射抜き、生贄として神前に捧げ、国家平安と五穀豊穣を祈願します。
従来は、御手洗川(みたらしがわ)の川底を掘り返すと、必ず冬眠中の蛙が獲れる、として諏訪大社の七不思議の一つに数えられてきました。
近年は動物保護団体からの抗議の声が多くなり、蛙を掘る場所や時期は秘密になりました。
もともとは上社の祭神が荒れ狂う『蝦蟆神』を退治したのがこの神事の始まりといわれています。
御頭祭(おんとうさい)
4月15日に上社で行われる祭。
別名「酉の祭り」「大御立座神事(おおみたてまししんじ)」「大立増之御頭」と言われています。
少年を柱に縛り付け、生贄に捧げるふりをしますが、助けに駆け付ける神官によって解放されるという儀式です。
現在では、鹿や猪の頭の剥製が使われていますが、昔は75頭の鹿、イノシシ、兎を生贄に捧げる何ともダイナミックな祭りであったようです。
また諏訪大社七不思議の1つとして「耳裂鹿」というものがあります。
これは生贄の鹿の中で、必ず耳が大きく裂けた鹿がいるというものであるという・・・
御頭祭と日ユ同祖論
諏訪大社の御頭祭は、旧約聖書に書かれた場面を再現しているのでは、という説があります。
紀元前17世紀。モリヤ山にて。
アブラハムがわが子イサクを神への生贄にしようとしますが、神に止められ、イサクの命は助けられます。
アブラハムは代わりに、そばのやぶに角を引っかけている1頭の雄羊を捧げました。
藪に角をひっかけた羊…耳の裂けた羊と関係ありそうだね!
また、ヘブライ語ではミサクチ=『ミ・イサク・チ』=イサクが信じていた神の意味なのだそうです。(『アマテラスの暗号』伊勢谷武著 より)
ミシャクジ神=モリヤ神=神 とな!
筒粥神事
1月14日の夜から1月15日の明け方にかけて下社春宮境内の筒粥殿にて行われる神事。
白米と小豆を44本の葦といっしょに徹夜で煮て、翌日その葦の中に入っている粥の分量の多少で農作物の収穫と、その年の吉凶を占います。
御舟祭(おふねまつり)
御船祭は8月1日に催される下社の例大祭。
ご神体を柴舟に乗せて春宮から秋宮へ遷座する祭です。
舟は南北朝時代に書かれた『諏訪大明神絵詞』には「鉾山」と書いてあり、江戸時代から「御舟」と呼ばれるようになったとされる。舟の上には翁、媼とみられる人形が乗せられます。
なお、2月1日に開催される遷座祭は、秋宮から春宮への遷座ですが、あまり大きく行われません。
諏訪大社の信仰
ミシャグジさま
ミシャグジ信仰は諏訪地方を中心に関東、近畿へと広がっています。
諏訪地方では、ミシャグジの神が蛇または龍として登場する伝承や民話が多く残されています。
かつて諏訪の地では、守矢(モリヤ)氏がミシャグジ信仰を統括してきたと考えられています。
しかし、守矢氏は諏訪に侵入してきた『神氏』との覇権争いに敗れます。
その後は大祝(おおほうり)と呼ばれる現人神(あらひとがみ)に諏訪市の一族の少年が選ばれ、守矢氏は神長官としてミシャクジ神を降ろし、大祝の即位に始まり各種神事を補佐するようになります。
ミシャグジさまは洩矢神なの?
もともと諏訪の地に祀られていたのは洩矢神といわれているし、ミシャグジさまは精霊のような存在という話があるから、単純にそうだとも言えないかもしれないのう。
手長足長
諏訪市の手長神社・足長神社には諏訪大社の祭神・建御名方神に随従する神として2柱の神が祀られています。
手長神社
手摩乳命 (てなづちのみこと)
御名方神の先祖の奇稲田姫の母神
足長神社(あしながじんじゃ)
脚摩乳命 (あしなづちのみこと)
建御名方神の先祖の奇稲田姫の父神
建御名方神以前から、諏訪の地で信仰されてきた神と言われています。
万次の石仏(まんじのせきぶつ)
画家の岡本太郎さんや作家の新田次郎さん方が感嘆されたことにより、全国的に有名になりました。
石仏に『万治3年(西暦1660年)』と刻まれているから『万次の石仏』と呼ばれているんだって。
明暦3年(1657年)、藩主の命を受けて、石工が諏訪大社下社春宮に遺石の大鳥居を奉納しようとした時のこと。
石工がこの地にあった大きな石にノミを打ち入れたおり、なんとその石から血が流れ出たといいます。
石工は大鳥居の造作を止め、この不思議な石には阿弥陀様を刻むこととしたそうです。
キリスト教のマリア像のようじゃな?
御柱祭をアニメ『君の名は。』と『すずめの戸締り』から考察する
御柱祭は6年に1度(数え7年)、命がけでご神木を山から里へと落とす、他に例を見ない祭りです。
神事とはいえ、なぜ、こんなに危険な『木落とし』が現在まで受け継がれているのでしょう?
選び抜かれた16本のご神木は諏訪大社の四つの宮を取り囲むように立てられ、7年後まで安置されます。
ご神木の意味することは何なのでしょう?
社殿を守る結界
本宮、前宮、秋宮、春宮の社殿を守るため、四天王(東方持国天、西方広目天、南方増長天、北方多聞天)に見たてたご神木を立てる、という考え方があります。
社殿を守るために人間が命を懸けるとは、どうなんだろう?
また、タケミナカタの神は「諏訪から出ない」とタケミカヅチの神に約束しているので、これを守る意味での結界という説もあります。
式年遷宮の代わりに、柱だけを新調している
伊勢神宮では20年に1度社殿を新調する式年遷宮が行われています。
諏訪大社の御柱祭は、社殿の代わりに、柱だけを新調しているという説があります。
諏訪大社では西・東の宝殿を6年ごと建て替え、12年ごとに御神輿を遷座しているのじゃ。
この考えでは、柱だけ、という理由がわからんのう。
神様の依り代
ご神木は一之御柱、二之御柱、三之御柱、四之御柱 と順を追って細く、短くなっていきます。
これは神様が降臨される際の目印として建てられているので、神聖なものであると言われています。
【新説】諏訪大社は地震から国を守っている
諏訪近辺は活断層『中央構造線』と『糸魚川静岡構造線』が走っています。
これらの断層のずれは、過去諏訪湖を作るほどの活発なものがありました。
もし、この活断層に大きな動きがあったら・・・?
それこそ日本を東西に割るような大きな地震が起こらないとも限りません。
今は南海トラフに注目が集まっているけど、諏訪近辺にも活断層があるのか。
報道で取り上げられる機会が少ないから、知らなかったなあ
諏訪湖をイメージしたとされるアニメ『君の名は。』は隕石が湖に落下することで、大きな被害が出てしまう世界線が示されました。
あくまで架空の世界のストーリーじゃが、穏やかでないのう
『君の名は』の新海誠監督は長野県佐久郡小海町出身。
長野県佐久市には『新海三社神社』という神社がありますが、関連の有無はわかりませんでした。
しかし、新海誠監督の作品には、どこか日本独自のスピリチュアルな感覚があります。
新海誠監督が、『君の名は。』『天気の子』の次に発表した作品が『すずめの戸締り』です。
『すずめの戸締り』では、要石で封印された扉が『ミミズ』を抑え込んでいました。
ミミズが暴れると地震が起こります。
地震を要石で封印しているというのがこの作品の設定なのですが、私は諏訪大社の16本の御柱が地震を封印しているとしたら、と考えると下記の点がすっきりすると思いました。
- なぜ諏訪の男たちは命を懸けてまでご神木を落とすのか?
- なぜご神木はこんなにも乱暴に扱われるのか?
もしも、諏訪地方を震源とする大地震を鎮めるのが目的であるなら、何万人、何十万人の人々のための祭りです。
諏訪の人々は多くの人々や土地を守るために命を懸けてまで、この神事を現代につないでいるのではないでしょうか。
また、伐り出したご神木を山の斜面に転がり落とす、という乱暴ともいえる下ろし方も、
①地下に封印されている『ミミズ』のような存在に、地響きを立てて新しい御柱の存在を知らせる
②『荒魂』のような大きな力で『ミミズ』のような存在を押さえつけ、つなぎとめる
と考えると、このやり方がふさわしいように思えてきます。
さすがに妄想が過ぎますでしょうか(笑)
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